インプラントを用いた治療は原則として保険適用外となっており、治療費がかさむケースが多いのが現状です。
「他の治療法で周りの歯まで痛めてしまったり、入れ歯が合わなくて苦しんだりする人もいるのに、なぜインプラントが保険適用にならないのか?」というような声も多く聞かれます。
一方で近年需要が高まっていることを受け、ごく限られた症例のみにはなりますが、インプラント治療が保険適用となりました。
本記事ではインプラント治療が保険適用となる条件や、適用外の場合でも費用負担を軽減する方法について、分かりやすく解説していきます。
さらに保険診療と自由診療との違いも見ていくので、インプラントの治療費を抑えたいけれど良く分からない方は、目を通してみてください。
インプラントは保険適用されない
インプラントは、保険適用が難しい治療法です。
ここでは保険適用されにくい理由、適用の条件について見ていきます。
インプラントの保険治療が難しい理由
ここでは2つの項目に分けて、インプラントの保険治療が難しい理由を解説します。
理由1他の方法で治療できる
歯を失ったときの治療法はインプラント以外にもあります。
保険は生活に必要最低限な治療にのみ対応するものです。
そのため保険の範囲だと、入れ歯やブリッジなど、安価で生活には支障が出ない治療法を選ばざるを得ないケースが多いのです。
理由2見た目が良い
インプラントの大きなメリットの1つと言えるのが、バネなどを使わず変色もないために見た目が良いことです。
しかし保険治療という面で見ると、保険の範囲ではここまでの治療は必要ないと判断される材料になってしまいます。
保険適用となる条件とは
条件は、大まかに分けると以下の2つです。
インプラントが保険適用となる条件
- 病気または第三者による事故などが原因となって、あごの骨が広い範囲で欠損した
- あごの骨の形成不全や欠損が、生まれつき3分の1以上にわたって見られると診断された
生まれつきや病気、怪我など、やむを得ない事情がある場合にのみ保険が適用になるのです。
保険診療と自由診療のそれぞれの意味とは
インプラント治療と保険診療について見てきましたが、そもそも保険診療とはどういった意味を持つものなのでしょうか。
対となる自由診療も併せて、それぞれの意味を解説します。
保険診療とは
保険診療とは、健康保険の範囲内で行われる治療を指します。
基本的に医療費の3割を負担すれば治療を受けることが可能です。
保険で定められた素材や方法を用いたむし歯の治療や神経除去、抜歯、ブリッジなどの治療が保険診療となります。
自由診療とは
自費診療とも呼ばれているように、健康保険の範囲外で行われる治療を指します。
「歯を白く見せたい」「歯並びをキレイにしたい」など見た目を美しくする、噛む機能を回復させるといった目的の場合は、自由診療となります。
また保険適用外の素材などを用いる場合も自由診療の対象です。
保険診療と自由診療の違いとは
保険診療は自由診療に比べて安価で済むケースが多く、生活する上で問題のないレベルまで回復させることができます。
しかし機能の回復が目的となるため、治療法や使用する素材も限定的になり、見た目の面でも自由診療に劣るケースが多いです。
一方で自由診療は、自分の状態に最も合った治療法を選ぶことができるため、見た目や機能、耐久性など多くの面で満足のいく治療ができます。
しかし治療にかかる全ての金額を負担するため、保険診療に比べて費用が高額になるケースがほとんどです。
インプラント費用を抑えるための医療費控除
保険適用外のインプラント治療を行う場合、費用を抑えるために知っておきたいのが医療費控除です。
上手く活用するために、基本的なポイントを押さえておきましょう。
医療費控除とは
確定申告において、1年間に支払った医療費の一部が戻ってくることを医療費控除と呼びます。
会社に所属している場合は会社が年末調整をしてくれていると思いますが、医療費控除は自分で申請しなければ受けることができません。
また全ての医療費が戻ってくるわけではなく、所得に応じて控除できる金額が変わります。
医療費控除の対象となる人
医療費控除を受けるには、年間所得の5%以上の医療費を支払っている必要があります。
その対象は税金を納めている本人に加え、「生計を一にする人」です。
例えば配偶者、仕送りをしている子どもなどが対象となります。
生活費が共通かどうかに着目する必要があり、同居しているからといって対象になる訳ではありません。
本人と生計を一にする人の医療費の合計金額が年間所得の5%以上となっていれば、医療費控除を受けることができます。
控除される医療費の内容
控除される医療費について、対象となるものとそうでないものに分けて見ていきます。
控除対象になる医療費
対象となる医療費の一例です。
控除対象になる医療費
- 診察費や治療費(※健康診断はのぞく)
- 治療に必要な医薬品の購入費
- 病気療養のための入院費用
- 介護保険制度のもと提供されたサービスの自己負担分
- 治療に必要な眼鏡や補聴器、義歯などの購入費
控除対象にならない費用
対象にならない費用の一例です。
控除対象にならない費用
- 美容整形
- 健康を維持するために購入した健康補助食品
- 美容目的のオールセラミック治療
- リラクゼーションを目的としたマッサージ
インプラントは医療費控除の対象になる?
先ほど挙げたように、美容目的でインプラント治療をした場合には医療費控除の対象になりません。
つまり、治療を目的としてインプラントを施術したか否かがポイントなのです。
国の基準では、一般的な支出の水準を著しく超えるような特殊なものについては、医療費控除の対象にならないとされています。
インプラント治療が治療目的となるかどうかは、歯科医師の判断次第です。
インプラント費用を医療費控除したい場合には、治療を受けている、または受けようと思っている歯科医院に相談してみると良いでしょう。
医療費控除の計算式
所得金額によって計算の方法は異なってきます。
分けて見ていきましょう。
所得金額が200万円以上の医療費控除
支払った医療費合計額-(給与所得控除後の金額×0.05)=医療費控除額
※ただし、0.05をかけた金額が10万円を超えた場合には、10万円とします。
所得金額が200万円未満の医療費控除
支払った医療費合計額-(所得金額×0.05)=医療費控除額
インプラント費用を抑えたいなら、保険や医療費控除を活用して
本記事を読んでいただくことで、インプラントと保険診療についてご理解いただけたのではないでしょうか?
保険適応がされず高額となるケースが多いインプラント治療も、医療費控除を活用すれば費用負担を減らすことができるのです。
神奈川県厚木市の団地会館歯科クリニックでは、30年以上インプラント治療を行ってきました。
その経験や術前の歯科CT撮影により手術時間を短縮し、患者さんへの負担を減らしています。