顎関節症

投稿者: | 2010年5月11日

アゴのトラブルの治療法
「顎関節症」という言葉をよく耳にするようになりました。顎関節症とはどんな病気か、まずは主な症状をあげてみましょう。
◆顎関節症の主な症状は?
★アゴが痛い
 固いものを食べたとき、口を開け閉めしたときにアゴやアゴの周りに痛みを感じます。口をちょっと動かしただけで痛んだり、何もしなくても痛みを感じることもあります
★口を大きくあけられない
 大きなあくびをしたり、大きな□を開けてリンゴを丸かじりにできません。目安として人さし指から薬指までの指3本を口に入れられない状態です。
★アゴが疲れる
 食べ物をかんだり、しやべっているとアゴが疲れてだるくなってきます。
★口を開けると音がする
 口を開け閉めすると耳の前の部分でカクッという音や、砂利をふんだときのような耳障りな音が聞こえます。
 このほか、顔面や肩の痛み、頭痛の症状が見られるなど、直接顎関節に異常を訴えない場合もあります。
◆意外と身近な顎関節症の原因
 顎関節は下顎(下アゴ)を動かすための関節で、耳のすぐ前にあります。耳の前に指を当てて、大きく口を開けると動く部分です。口を開けると下顎の丸い突起が回転して、だんだん頭の骨のくぼみに沿って前方に滑り出していくしくみになっています。
 頭の骨のくぼみと下顎の丸い突起の間には関節円板というクッションがあって、これがアゴの動きをなめらかにしたり、圧力を吸収しています。下顎を動かすのは、こめかみや頬の周りにある咀嚼筋。食べる、しゃべるなどの複雑な運動ができるのは、これらの骨や筋肉が協調しあって動くからなのです。
 顎関節症は、アゴの関節がスムーズに動かなくなった状態で、次のようなアゴの異常活動が原因となり、関節の内部に異常が起こることで発症します。
★歯ぎしり
 歯ぎしりは自分で気づかないことが多いものですが、浅い眠りをしているとき(夢を見ているとき)にすることが多いといわれてます。ストレスや睡眠時無呼吸症候群と関連があるという説もありますが、はっきりした原因はわかっていません。強い歯ぎしりでは、歯の表面が削れてしまい歯がすり減るようなこともあります。継続的に歯に力が入ることによって、歯と骨の間にある歯根膜がダメージを受けるので、歯周病の原因になることもあります。
★くいしばり
 くいしばりは、知らないうちに必要以上に強く歯をかみしめること。原因ははっきりしていませんが、ストレスが関連することもあるようです。
★かみ合せの異常
 歯が欠けたままになっていたり、かぶせた物がうまくかみ合っていない、アゴを強く打ったなどの理由でかみ合わせが悪くなると、一部分だけでものをかむようになる  ので顎関節症を招くことがあります。
★入れ歯
 入れ歯を入れると、正常な人に比べてかむ力がでないため、同じ食事をしていてもより長時間の咬合運動が必要になる、つまりアゴやアゴの周囲(首、頭、背中など)の痛みを発生させることがあります。
◆マウスピースを装着する治療をします
 筋肉の緊張をやわらげるため、上顎にスプリントと呼ばれるマウスピースを入れる治療を行います。歯ぎしりやくいしばりを減らす目的なので、原則的に口に入れられるときはなるべく長時間入れるようにします。これを数か月~1年間続けて改善を待ちます。
 しかし、マウスピースを入れて動かさないようにするのは、足をくじいたら安静にして炎症が鎮まるのを待つという考え方で、根本的な治療ではありません。マウスピース自体、口内で異物感が強く、入れられない人も多くみられるため、私のクリニックではつぎに述べるラエンネックという薬剤を使用することが少なくありません。
 マウスピースを装着する以外にも、大きな口を開けずアゴの安静を保つ、できるだけよい姿勢を保つ、寝るときはアゴに負担がかからない横向きか仰向けで寝る、温湿布をする、口を開ける練習をする、筋肉のマッサージをするといったケアを同時に行いましょう。
◆顎関節症の治りを早めるプラセンタ
人や生物を原材料にした薬剤を生物製剤といいます。ヒトの胎盤からエキスを抽出してつくった生物製剤「プラセンタ」は、1974年から肝硬変治療や肝機能改善のための薬として使われてきた薬です。発売から30年以上たっても重篤な副作用の報告はなく、厚生労働省の認可を受けた注射薬です。
★各種グロースファクターが人間の修復力を強化
 プラセンタの原料となる胎盤は、10か月で胎児を新生児にまで成長させる驚異的な力をもっています。ほかのからだの組織や臓器には含まれない細胞増殖因子やサイトカインやリボ核酸などのさまざまな活性物質をさかんに合成・分泌し、これらを妊娠期間中ずっと赤ちゃんに与え続けているからです。この特性は薬となっても効果を表すことがわかり、古くから肝臓の薬として使われてきたプラセンタですが、最近では、美肌効果があるという美容面で見直されているようです。
 美容効果のある薬を歯科治療でなぜ? と思われるでしょう。実はプラセンタのもつ活性成分は、顎周囲にある三叉神経などの神経痛をやわらげたり、筋肉痛や顎関節症、ヘルペス、また、手術後の治りを早めるすぐれた効果があるのです。ラエンネック(製品名)という薬を私のクリニックでもご希望により使用しています(自由診療)。
 プラセンタの薬理成分であるグロースファクターの働きにより、本来人間が持っている自身の修復する力を強化することで、関節軟骨節の修復作用、鎮痛作用、血行の改善による不定愁訴の改善が期待できます。顎関節症の場合、筋肉注射か皮下注射で、週に1~2回を2か月ぐらい続けます。2~3回の治療で、アゴが楽になったという症例もみられます。
★感染症の心配は? 安全性は?
 人の胎盤からとった生物製剤ですから、感染症などを心配される方もいますが、薬に使用されているのは、日本国内で満期正常分娩で出産された胎盤を原料とするもので、妊娠中に妊婦さんに行う血液検査でウイルスなどに感染しているものは除外されます。また、工場での製造段階でB・C型肝炎、エイズ、白血病、りんご病のウイルスについては改めて検査されています。また工程の最終段階で、高圧蒸気滅菌を行い、製品試験で病原物質についての確認試験が行われるといった安全対策を経て出荷されています。