むし歯

投稿者: | 2010年5月11日

日本人のむし歯の数は世界有数
地球が誕生したのが46億年前。酸素がなくても生きられる細菌は30億年前にはもう存在していて、だんだんとその種類を増やしてきました。細菌のなかには人間が生きていくのに欠かせない細菌もありますが、ブドウ球菌、大腸菌、コレラ菌、結核菌などは病気の原因になり、ときには生命を奪う病気の原因となる細菌もいます。
歯の組織
歯の頭(歯冠)と歯の根(歯根)の境目はエナメル質が薄くなっています。歯垢が入り込んで歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)を広げないように、正しいブラッシングで歯垢を取り除きましょう。
◆ むし歯の原因になる「細菌」は10種類
 
 このような病原細菌は、外から体に侵入して感染したり、体の中に住み着いていて、体調が落ちたときなどに仲間を増やしてあばれ出し、病気をひき起こします。
細菌は千倍の顕微鏡で見ても1mm程度にしか見えない大きさ。でも、インフルエンザウイルスなどに比べれば大きい生物です。きょう膜という防護壁でおおわれていて、白血球に退治されないしくみになっています。また多くの細菌はべん毛があって、動き回るのが上手です。また、毒素を武器に体の組織をねらう細菌もいます。
★むし歯菌はどこから生まれるの?
 人はこの世に誕生したときから、さまざまな細菌にさらされ、細菌も口の中にも住み着くようになります。口の中にいる細菌の種類は300種以上ともいわれ、お母さんの口の中にいた細菌が赤ちゃんにうつります。そのなかでむし歯を引き起こすむし歯菌はミュータンス菌など約10種の細菌です。
 むし歯菌は砂糖をエサにして、グルカンという物質をつくります。これはネバネバした物質で歯の表面にべたっと貼りつきやすい特徴をもっています。そのうえ水に溶けないので、うがいややわらかい歯ブラシでブラッシングする程度では落とせません。このグルカンのなかでいくつかのむし歯菌が結びつき、数時間で塊となったものが歯垢(デンタルプラーク=歯に付着するもの)です。
 ブラッシングで落とせなかった歯垢は増殖を続けて石灰化し、歯石になってしまいます。歯石はブラッシングでとれるものでなく、歯と歯ぐきの問(歯周ポケット)に住み着いて溝を大きくし、歯周病の原因にもなるのです。
◆むし歯のできる要因を知っておこう
むし歯や歯周病(第3章参照)は、結核菌から結核になる、のどに細菌がついて扁桃炎を起こす、尿道から細菌感染して腎孟腎炎を起こすといった感染症と同じで、むし歯菌による感染症だと考えてよいでしょう。
 歯垢が歯の表面に住みついていることに加え、そこでつくられる酸が歯を溶かし始める、歯質が弱い、むし歯菌の栄養となる糖分の摂取によって歯を溶かす酸がつくり続けられるといった状況が一定時間以上続くという要因が重なって、むし歯ができ始めるのです。
★むし歯のできやすい場所、できやすい人
むし歯が最もできやすいのは、歯の溝や歯と歯がくっついている部分など、ブラッシングで歯垢が取りにくいところです。大人の場合、むし歯を治療したときに入れた詰め物やかぶせ物と歯の間からむし歯が進むことがよくあります。詰めものやかぶせものには変化は見られませんし、神経を抜いていれば痛みも感じないので、気づいたときにはかなりむし歯が進んでいるということもよくあります。
 またむし歯ができやすいのは、口の中にいるむし歯菌の数が多い人です。これは体質の問題なので、どうしようもありませんが、適切なブラッシングでむし歯菌を減らすことは可能です。
◆むし歯はどう進むの?どんな治療をするの?
 むし歯のはじまりは、歯の表面にツヤがなくなって、白くなったり薄い茶褐色になることでわかります。この段階では、きれいに歯垢を取ったり、フッ素を塗ることでむし歯の進行をくいとめます。
★C1-エナメル質のむし歯
 歯の表面をおおうエナメル質だけに限定しているむし歯で、痛みはありません。歯に小さな穴ができ、茶色に変色したりや黒っぽくなります。むし歯の部分を削り、プラスチックの詰め物をします。エナメル質はとても硬いので、ダイヤモンド粉で固めたやすりで削ります。歯は削ったらもう元には再生されません。
★C2-象牙質に達したむし歯
 むし歯が象牙質まで達したもので、冷たいものや熱いものでしみたり痛みを感じたりします。口に見える状態はC1と似ていて、歯に穴があき、茶や黒っぽくなります。C1と同様にむし歯の部分を削り、プラスチックの詰め物をします
★C3-歯髄に達したむし歯
 歯髄は歯の中心部にあり、歯槽骨とつながっている神経と多数の血管を含む組織で、歯に血液を送り、歯の健康を維持しています。
 むし歯が歯髄に達すると、歯はズキズキと痛みます。表面のむし歯の穴はそれほど大きくないのに、奥で広がっていることがあります。むし歯の穴から細菌が増殖するので、口臭がすることもあります。
 歯髄の炎症がひどくなければ感染した組織を除去するため、歯髄を取り除きます。そしてむし歯でなくなった部分の歯の型をとってかぶせ物(クラウンという。)を行い、かみ合せを調整します。
★C4-根だけが取り残された状態
 見える部分の歯がほとんどなくなるほどに進行したむし歯では、すでに神経は死んでいるので、痛みを感じません。放っておくと細菌は血液中に入り込んで健康をおびやかすので、歯の根の状態によっては歯を抜くことになります(失った歯をどうするかは第5章を参照)。根を生かせる場合には差し歯(P36参照)を選択することもあります。
◆むし歯に気づいたら早めに治療することが大事
 ほんの少し白くなっている程度の初期のむし歯は、削らずに治せる場合もありますら、黒くなったり茶色くなったりする前、痛くなる前の早めの受診が大切です。
 むし歯が深く広がってから削って詰めた場合、歯髄が死んで炎症が起こり、膿の袋ができることがあります。こうなると歯髄を生かすことは難しくなります。
 むし歯は、できないようにケアするのが大前提ですが、もしできてしまったら、なるべく早く歯科を受診して、症状をくいとめることが大切です。
◆ 予防の基本はブラッシング歯石は歯科で取りましょう
 第1章で、正しいブラッシングをはじめ、毎日の生活でできるむし歯予防の方法を述べました。それに加えて、歯の健康診断を定期的に受けることをすすめます。
 歯垢の中の細菌が唾液の中のカルシウムと結びついて、固くなって層状に育ったものが歯石。これはブラッシングだけでは取れないので、定期健診時に歯科で取ってもらってください。
歯科医はスケーラーという器具で歯石を除去します。歯石を放っておくと、細菌感染が歯の骨まで広がって、歯周病を進行させることになります。むし歯菌は家族にもうつるので、定期健診は家族みんなで行いましょう。
◆むし歯の治療の種類(詰め物・かぶせ)
 むし歯は、歯の組織の一部を失うということですから、まず、削って詰め物をしたり、メタルやセラミック(陶器)をかぶせて修復し、歯の機能を回復させるというのが基本的な考え方です。修復方法は、歯の場所や状態などによっていくつかの方法があります。その代表的なものをご紹介しましょう。
・アンレー/インレー
 歯の一部を残してほとんどかぶせるもの。内側から処理した詰めものをインレーと呼ぶのに対し、外側からの処理ということでアンレーと呼んでいます。かぶせ物には、メタルやセラミックがあります。アンレーは基本的に保険適用外です。
・クラウン
 むし歯が大きい場合、神経を抜いた歯が弱ってしまった場合などは、詰めるよりはかぶせて歯を長持ちさせることがあります。歯の外側にかぶせ物をすることをまとめてクラウンと呼び、いくつかの種類があります。材質によっては保険適用外。歯の根だけになった歯にクラウンをかぶせるときは、歯の根に深く穴を開け、そこに金属のピンを立ててプラスチックで固め、歯の土台をつくってからクラウンをかぶせます。金属を溶かしてつくるメタルクラウン(素材によっては保険適用外)、セラミックだけでつくるセラミッククラウン(保険適用外)、フレームを金属でっくり、見える部分にセラミックを焼きつけてつくるメタルボンドポーセレン(保険適用外)などがあります。
・前装冠
 表面に硬質レジンというものを貼りつけてつくるクラウン。前歯には保険が適用されます。
・差し歯(ポストクラウン)
ピンと歯が一体になった人工の歯を、歯の根に空けた穴に差し込んで治す方法です(保険適用)。昔はよくやられていましたが、歯肉まで削り落とすことになり、力がかかると歯が破損するので、最近では見られなくなりました。

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